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2010年12月10日 (金)

疑わしきは、被告人の利益に。

 久々に、真面目な話をしたい。

 今日鹿児島地裁で老夫婦強盗殺人事件の判決があった。冒頭陳述から被告人が一貫して無罪を主張、検察側の死刑の求刑に足して真っ向から対立していたものであった。今まで裁判員裁判での死刑求刑は数例あったが、いずれも事実認定を認め、死刑ないし無期懲役の判決が下ったが、今回のケースは被告人が一貫して犯行事実を否定してる事から、その去就が注目されていた。
 で、下った判決は「無罪」である。
 裁判所は(ちなみにこの場合の裁判所とは、職業裁判官と裁判員との合議制の刑事裁判所のことを指す。)検察側に提出した証拠を詳細に調べ、被告人が家屋に立ち入ったことは認定できるが、被害者や被害者宅の状況や被告人の事情などを詳細に総合勘案し、被告人が検察側の主張する犯罪事実を行ったと認定するには合理的疑いが残るとして、「刑事裁判の鉄則」に基づき無罪とした。
 さて、この「刑事裁判の鉄則」とは以下のような言葉であらわされる。

 「疑わしきは、被告人の利益に。」

 これは、刑事裁判に於いては、少しでも犯罪事実の認定に際して疑問を持つようなことがあれば、被告人に有利な方向で考えると言う事である。
 すなわち今回に関しては検察側の提出した証拠では被告人が住居侵入並びに強盗殺人を行ったと言う事実を認定し、法定刑の死刑を宣告する事に疑問が残ると言う事で、それなら被告人に有利な方向で考えると犯罪事実はないと言う事が利益になるのだから、犯罪事実はないすなわち「無罪」と言う事になるのである。

 私は昨日この件に関する報道を見たこともあり、興味を持って判決が出るのを心待ちにしていた。そして無罪の判決が出たのを知って、なおかつ刑事訴訟法の趣旨である

「真実発見と人権保障」

の原則通りの判決内容であると感心した次第である。
 究極は人の命を奪う「死刑」を選択しうる刑事裁判であるからこそ、今回のようなケースで「無罪」を宣告するのは至極当然であると言えよう。

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