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2008年9月12日 (金)

判例変更

 最近1週間の間勉強したことの内訳とか、某ヒロイン物のオタク話とか、ろくな物しか投稿していないので、
 (まあそれはそれで記録を残すという意味や息抜きとしてはいいのだが)
久々に今朝寝ぼけ眼を一気に目ざめさせた、自宅で取っている某地方紙「K新聞」に小さく載っていた(それでも1面と27面に掲載された)注目すべき記事について書こうと思う。

 ☆区画整理事業 計画段階で提訴可能
 -最高裁が42年ぶりに判例変更 住民側に門戸拡大-

  自治体の土地区画整理事業をめぐり、計画決定段階で、反対住民らが取り消しを求め行政訴訟を起こせるかどうかが争われた裁判の上告審判決で、最高裁判所大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は十日、四十二年ぶりに 判例を変更、「計画決定は訴訟で争える行政処分に当たり、提訴は認められる」とする判断を示した。
  島田裁判長は、不適法を理由に、被告の浜松市を勝訴とした一、二審判決を破棄、事業計画の違法性の有無について実質審理するよう静岡地裁に差し戻した。 (以下省略)

 行政書士試験を受けるに当たって避けて通れないのが行政法であり、その中でも行政事件訴訟法に於いて一番の論点となる問題の1つに訴訟要件の問題があり、その中でも抗告訴訟における処分性の問題は原告適格の問題と並んで本試験では繰り返し問われている物である。
 
行政事件訴訟法
第二条  この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。

(抗告訴訟)
第三条  この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2  この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3  この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。 (以下略)

 上記の裁判は行政事件訴訟法第三条2項に規定されている「処分の取り消しの訴え」にあたり、大きくは同条柱書に規定される抗告訴訟の一類型である。
 行政書士試験を受ける方々なら、この処分性の問題と原告適格の問題は、数多くの判例があるため頭を悩ます物で、中には判例を知らないと、処分性の有無を間違えてしまいそうな物まで有り、私も頭を悩ましている。

 さてその処分性とはどういう事を指すかと言うことは、各予備校の基幹講座の講義録等で学習済みだと思うが改めてここに書いてみることにしよう。
 処分性とは、ある行政機関の行為が行政事件訴訟法第三条2項にある
 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」
にあたることをいい、
 判例は、
 「処分性は行政庁の法令に基づく行為のすべてではなく、国や公共団体の行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもののみに認められる」
とする。
 よって上記の内容を満たす訴えの内容でなければ「処分」に当たらず、裁判所には「処分性」がないと判断され、訴えを提起しても不適法につき却下される。

 今回、問題となった土地区画整理事業計画の公告段階での訴訟の提起については、新聞記事が42年ぶりに判例変更と書いてあるように、昭和42年に最高裁の判例が存在する。当然その筋の方々においては学習済みであると思うので、詳しい内容は書かないが、土地区画整理事業計画の公告段階では個人の有する権利に対して具体的な変動を及ぼさないため、取消訴訟の対象となる処分性を有さないとの判断であった。そのため、上記記事における裁判においても一審、二審は上記判例を踏襲し、土地区画整理事業計画の公告段階では処分性を有さないので、訴えは不適法却下すなわち門前払いをした訳である。

 で、何故このことが問題にあるかというと、今年の試験に受かるか受からないかを云々する前の段階で来年の話をするのははばかられるが、当然この最高裁の判例変更は来年の行政書士試験に於いて、重要なキーとなりうる。すなわち来年の本試験で確実にこの件が引っかけ問題として出てくることが確実だからである。こういう細かいことも興味を持って、覚えておくように努めないと、ただでさえ難易度が上がっている行政書士試験の合格はおぼつかないのである。

追伸:本試験の基礎法学でも問題になりうるのが、判例変更の場合の要件である。裁判所法には以下のように規定されている

裁判所法
第十条 (大法廷及び小法廷の審判)  事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一  当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二  前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三  憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

 上記の裁判所法第十条三項により、本件上告に対しての判決は最高裁大法廷で行われた。大法廷は最高裁判所裁判官15人全てが出席して開廷され、原則多数決によって決定される。今回の判例変更は出廷裁判官全員が賛成だったそうであるが、原告側の弁護団は、行政の権利侵害に対し救済の機会を広く与える判決だと評価しているそうである。
 ちなみに上記規定の反対解釈として、戦前の大審院の判例を変更するときは、大法廷で判決を下さなくても良いとのことである。2005年と2007年度に上記論点の問題が出ているので、確認しておくべきであろう。

 

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