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2006年7月13日 (木)

合格講座(行政法3)2ターン目

 先日もお知らせしたとおり、1昨日は合格講座行政法の3回目だったが、ブログのサーバーのメンテナンスで投稿できなかったため本日投稿させていただくことにする。
 内容的には行政裁量と行政行為の瑕疵、行政行為の取消と撤回であるが、今回の投稿では行政裁量についてお話ししよう。
 行政裁量とは読んで字の如くお上(行政)のさじ加減(裁量)と言うことであるが、本来お上には「法律による行政の原理」という縛りがあるため、お上のすること(行為)は全て法律で決めておくことが妥当である。(これを覊束行為という。)しかしお上のする仕事は、地域のゴミを集める仕事から、H2ロケットを打ち上げて気象衛星を静止軌道に乗せる仕事まで多種多様な物が存在するため、いちいちそのたびに国会で法律を作っていてはやってられない。そのためにお上がある一定の裁量を持つことを許そうという考えが行政裁量であり、それによりお上がすること(行為)が裁量行為と呼ばれる。
 さて、法律で縛られたお上の行為である覊束行為とは違い、おかみのさじ加減(裁量)が認められる裁量行為だが、学説ではこれを法律による基準が存在する制約のある自由と、本当にお上の自由の二つに分ける。前者を覊束裁量(法規裁量)後者を自由裁量(便宜裁量)という。と言うわけで、お上が行う覊束裁量行為は法律が予定する客観的な基準が存在する故に司法審査になじむ(裁判所がお上のすることにいちゃもんをつけられる。)とされ、自由裁量行為はお上しか分からない判断基準であるため裁判所には白黒つけられず、結果的に司法審査になじまない(裁判所がお上のすることにいちゃもんがつけられない。)とされる。
 具体的には、皇居外苑の使用許可を巡って争われた最高裁の判例(昭和28年12月29日)のように公共福祉財産(講師曰くみんなの為のもの。(この場合は皇居外苑))の使用を許可するかしないかは、特に法律で基準が定められている訳ではなく、お上の裁量に属するが、みんなのものであるがゆえに誰もが使用できるように取りはからわれなければならない。従ってお上が全部自分の勝手で決めていいとは言えず、ある程度の基準に従った取り計らいをしなければならない。これが縛られた自由、覊束裁量である。
 また、別の判例(最高裁判例昭和52年12月20日)における公務員の懲戒処分に関する件では、最高裁は、
 「ある公務員をクビにするかしないか、またどのような基準でクビにするかは、その人を使うお上の(実際には上席(上司)の)自由である」
 との判断を下し、お上の全くの自由である自由裁量であるとした。
 つまり、覊束裁量は裁量を行使する段階で、誰が見ても分かる客観的な基準が存在するのであって、自由裁量においては、その裁量の基準が専門的すぎて一部の人にしか分からない内容であるという結論に達する。
 ただ、これらの覊束裁量と自由裁量の話はあくまでも行政法理論上の話であって、裁判所では明確に区別しているわけではない。裁判所(特に最高裁判所)はややこしい話はキライなので、覊束裁量だとか自由裁量とかややこしいことをいわずに、とりあえず裁量権に逸脱・濫用があれば裁判所の審査に服するとする。

行政事件訴訟法
 第三十条  行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。

 最後にオチ的な話になるが、行政裁量に対する考え方はいわゆる学者さん達と裁判所の間では隔たりがあり、問題が出た場合行政法理論の問題なのか行政事件訴訟法上の問題なのかと言う様な判断をして問題に望まなければいけないと講師がおっしゃっていた。行政書士試験の試験範囲にはこうあるのだから。

 行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)
 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、平成18年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

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