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2006年6月20日 (火)

合格講座(民法11)2ターン目

 今日は合格講座2ターン目の11回目だが、内容的には契約総論の残り第三者の為の契約、解除に関する件そして契約各論に入り贈与、売買、売買に伴う担保責任、買戻と続き賃貸借件の途中まとなっている。1ターン目の講義の際のブログでは、担保責任についてさらっと書いていた。講師的にも担保責任については重要論点だとおっしゃっていたので、改めて深く掘り下げるのもよいかもと思ったが、少し思うところがあって、行政書士の実務上よく絡む話でもある賃貸借の話をしようと思う。
 賃貸借とは平たく言えば、大家さんが学生君に部屋を貸し学生君は賃料を払うという契約を結ぶことである。この場合、大家さんは学生君に自分の持ち家の部屋の一室を貸さなければならない義務を負い、学生君は大家さんに賃料を支払わなければならない。また、大家さんと学生君の間の話し合いだけで
(実際には周旋屋(古い表現だが、現在ではエイブルがその例である)が間に絡むのだが。)
契約が成立する。
(なお、これを契約の形態や内容で分類すると、有償双務諾成契約という。)
参考に条文を掲載する

民法 第六百一条
 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 また、賃貸借は債権であるが、登記等の対抗要件を備えれば、物権同様に新たに現れた賃貸人や第三者に対して対抗できる。(民法605条) ただ実際には賃借権の登記は所有者(この場合は大家さん)の同意が必要なので殆どする人はいない。(出来ない人がほとんどであるとも言う。)
 さて、このような性質を持つ賃貸借だが、原則として賃貸人と賃借人の間の信頼関係に基づく契約であるから、賃貸人の承諾がなければ賃借権を譲渡したり賃借物を転貸することは出来ない。(民法612条1項)そして、それに違反すれば、賃貸人は契約を解除できると規定されている。(同条2項) ただし、最高裁の判例では敢てそれを修正して、いわゆる信頼関係法理による解除権の制限があるとする。

最高裁判例 昭和39年6月30日
 事件:Aは、土地所有者Xから土地を賃借しその上に建物を所有し、内縁の妻であるYと寿司屋を営業していた。その後、Aが死亡したためYは内縁の妻であるために賃借権を相続できないという事情から、Aの相続人からその賃借権を譲り受けて営業を続けようとしたところ、賃貸人(土地所有者)Xに賃借権の無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除され、土地の明け渡しを要求された。
 判旨:本件借地譲渡権は、これについて賃借人の承諾が得られなかったにせよ、従来の判例にいわゆる「賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合」に当るものと解すべく、したがって、賃貸人は、民法612条2項による賃借権の解除をすることができない・・・(以下略)

 つまり寿司屋の大将のお妾さんが、大将の死後けなげにも寿司屋を続けていこうとしたところ、大家がチャチャを入れたわけで、それに対して最高裁は、
 「大家さん。あんた大将とお妾さんが今までずっと寿司屋をしていたのはわかってるんやからそんな些細な話で今までの信頼関係が崩れた訳やないんから、そんな無茶言いなさんな。」
と大岡裁きのごとく条文の内容どおりの判断をせず、気の毒なお妾さんを守ったのである。裁判官も人の子である。気の毒な人は助けるのだ。
 ただ、講義中に講師がおっしゃっていたが、最近の裁判官はサラリーマン化して来ていて、このようなハートフルな判例があまりないとおっしゃっていた。省みるに、法律を厳格に守るということは、時には無慈悲なことがあるのだなぁと感じることがある。ゆえに私は法律を勉強するものとして、出来うる限り世の中の人のためになる仕事をしていきたいと思う次第である。

追伸:最後に上記判例の論点となった条文を掲載しておく。

民法第六百十二条
  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

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