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2006年6月16日 (金)

合格講座(民法10)2ターン目

 今日は合格講座民法2ターン目の10回目、内容的には1ターン目と同じく相殺、契約総論、同時履行の抗弁権と危険負担である。前回は、相殺の表面だけさらっとなぞって逃げたので、今日は同時履行の抗弁権について出来る限り詳しく述べたいと思う。
 同時履行の抗弁権とは講師の御説明を借りれば、
 「お互いに文句を言い合う権利」
ということである。
 具体的に例を挙げれば、あるお金持ちがトヨタの高級車販売チャンネルであるレクサス店に行って、レクサスGS(なお、これはトヨタの高級車としてセルシオの次にランクされるアリストの後継機種だとのことだが。)
を契約した。ところが、車が納車されないうちにレクサス店のほうから、
 「お客様、車は納車できませんが車両代をお支払いください」
と言って来たらどうなるか? 当然、私に限らずお金持ちの人でもこう言うだろう。
 「車が納車されていないのに、車両代なんか払えるかい!」
と。至極当然の話であろう。
 また、逆にお金持ちの方がレクサス店に、
 「ちみ、ちみ、わしは車両代を払っとらんが、車をわしに渡しなさい。」
と言うとどうなるか? 当然レクサス店の担当営業マンはこう言うだろう。
 「お客様、車両代を頂戴できますでしょうか?」
と。これまた至極当然な話である。
この場合お金持ちとレクサス店の間には債権債務が存在し、双方お互いに対して債権を持つと同時に債務を持っている。これを債務の面のみから見れば、お金持ちの方には車両代を支払う義務(金銭債務)があり、レクサス店にはお金持ちに車を納車する義務(車両引渡債務)があることになる。このような契約を双務契約というが、同時履行の抗弁権は、このようにお互いが、お互いの義務を果たすまで自分の義務を果たさないと、相手に対していちゃもんを言い合う権利である。
参考に条文を掲載しよう。

民法第五百三十三条
 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

 これによく似た権利に、物権のところで登場した法定担保物権の中の留置権があるが、留置権と同時履行の抗弁権との大きな違いは、留置権は物権であるがゆえに、誰に対しても主張できる。たとえば修理に預かったパソコンを、修理代金が未支払いの場合は、たとえそのパソコンの所有者のみならず赤の他人が返還を申し出ても留置権を主張して引渡しを拒むことが出来る。しかし同時履行の抗弁権は、先ほどのお金持ちとレクサス店の間だけで通じる話で、レクサスGSの引渡しを日産の店に主張しても無駄である。日産の店にはレクサスGSは売っていないからだ。(これは債権の性質のところでお話したが、債権には物権と異なり絶対性がないのである。)
 ただ、同時履行の抗弁権も留置権も公平の理念に基づく権利であるという立法主旨は同じである。
 さらに、同時履行の抗弁権を有している限り、債務の履行期日を過ぎても違法にはならず、履行遅滞(415条)の責任を負わないのである。
 
 同時履行の抗弁権の論点にについては成立要件等の内容が残ってはいるが、話が長くなったので、同時履行の抗弁権が認められる例として大審院の判例と最高裁の判例をひとつづつ掲載して終わることにする。

 大審院判例 昭和16年3月1日
  弁済と受領証書の交付とは、同時履行の関係に立つ
  (借金(代金)を払うことと、支払ったお金の領収書をもらうこととの間には同時履行の抗弁権が成立する。)

 最高裁判例 昭和47年9月7日
  売買契約が詐欺を理由に取り消された場合における当事者相互の返還義務(原状回復義務)は同時履行の関係にある。
  (のび太が、スネ夫にだまされてどこでもドアを売ってしまい、後から詐欺を理由に取り消した場合、のび太がどこでもドアを売った代金をスネ夫に返す義務と、スネ夫がどこでもドアをのび太に返す義務との間には同時履行の抗弁権が成立する。)

追伸:最高裁判例のほうは、講師は悪徳新興宗教と、だまされた信者がありがたいつぼを売買するという内容で御説明されていたが、私的に面白くなかったので上記の内容で説明した。多分内容的には間違っていないと思うが・・・ あと、どこでもドアは本来ドラえもんの所有物
(ただし、ドラえもん公式設定では、ドラえもんの道具の一部はレンタル品だそうだ)
であるが、他人物売買も民法上OKなので、それ以上ツッコまないでいただきたい。 <(_ _)>

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コメント

  答練終わりました!


  3時間は長いです。疲れました。

  テキストはやはり大事ですね。

  これからも頑張っていきましょう。

投稿: 信者 | 2006年6月17日 (土) 01時47分

 信者さん、答練お疲れ様でした。野暮な事は聞きませんから、
(興味はあるんですけど)
今日はゆっくりと休んでくださいね。私も今日から行政法の勉強を一段落して、民法の基礎固めに入ろうと思います。

投稿: タカくん | 2006年6月17日 (土) 09時43分

あたしもツボの例よりドラえもんとかのびたくんが出てきたほうがしっくりきますw

勉強にもなったしおもしろかったです^^

また遊びにきますね♪

投稿: yumiyumi118 | 2006年6月17日 (土) 12時40分

 yumiyumi118さん御無沙汰でーす。ブログの方はちょくちょく覗き見させていただいてますよ~。
(内容的に40過ぎのおっさんが突っ込み入れられるネタがないのが残念です・・・)
 コメントの件ですが、そうでしょう、そうでしょう。只でさえ小難しい法令の話、ちょっとでも面白く覚えられたらラッキーですよね。別にAさんとBさんが云々~じゃなくても、のび太君とスネ夫くんが~で覚えて試験に受かったら、それで
「結果オーライだぜ!」
ですよ。

 追伸:うちのほうには、またいつでも覗きに来てくださいね。お待ちしています。

投稿: タカくん | 2006年6月17日 (土) 13時37分

 ゆっくりと休みたいんですが・・・


 今日はトライアル模試でした。

 タカくんさんは明日受験しますか?

 あまりにも自分は無力です。しかーーし、

 凹んでも仕方ありません。復習して復習して

 前へ進んでいきます。明日は梅田に行きます。 

投稿: 信者 | 2006年6月17日 (土) 22時42分

 信者さん、おはようございます。今日は神の解説を拝聴しに山を下りられるのですね。
 今日のトライアル模試、全然自信がありません。主要3法は十分とはいえないまでも、ある程度の積み重ねはしてきたつもりですから、現在の持てる力を注ぎ込んで見ます。

投稿: タカくん | 2006年6月18日 (日) 08時18分

  こんにちわ!

  今日の模試は120点満点です。合格は

  90点です。(by講師)

  心も天気も晴れないけど頑張りましょう。

  そろそろ下山します。

投稿: 信者 | 2006年6月18日 (日) 12時32分

まだまだです。合格点の90点には程遠い78点しか取れませんでした。水曜日の答練は、さらに難易度が高いと思いますが何とか頑張ります。信者さん、山にこもるのも良いですが、下山オススメします。

投稿: ヒロりん | 2006年6月18日 (日) 19時40分

 ヒロりんさんどうもお疲れ様でした。私はたったの63点しか取れませんでした。とりあえず、次は民法です。

投稿: タカくん | 2006年6月18日 (日) 21時57分

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