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2006年5月30日 (火)

合格講座(民法5)2ターン目

 今日は合格講座民法2ターン目の5回目、内容的には不動産の物権変動の残り部分と動産の物権変動、占有権と続いた後に、いよいよ満を辞して本権のトップバッター所有権のさわりだけというものであった。
 さて早速本題に入るが、不動産の物権変動は原則は公示しないと第三者に対して対抗できないのが原則である。
(だから、不動産を買った場合はすぐ自分名義に登記をしておくのである。(実際には司法書士さんに頼むのであるが・・・))
 で、実は民法上にはお題目として、176条がある

 民法176条
 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

 つまり、A「あんたに土地売ります。」 B「はい、買います。」となればAからBに物権変動が起こるというのが176条の内容である。これが世の中で素直にまかり通るならば、弁護士も司法書士も行政書士も廃業である。実際には金に困って2重売りしたりする輩が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するために、以下のように対抗要件を備えなさいということである。

 民法177条
 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

かいつまんで言えば、不動産の対抗要件は「登記」であり、登記をして外部に対して物権の変動を公示しないと
2重売りの相手に勝てませんよということである。
 さて、177条における第三者とはいかなるものなのか。大審院の判例がある

 当事者とその包括承継人以外の者で登記の欠缺(けんけつ)を主張するにつき正当な利益を有するもの

講師の言葉を借りて日本語に直すと、

 物の権利を移動するにあたっての当事者と、相続等によって当事者いずれかの地位を受け継いだもの以外で、登記がないことを主張するのにまっとうな利益があるもの

となる。
 そこで第三者に当らない例としてよく出てくるのが背信的悪意者である。背信的悪意者とは、たとえば例によってドラえもんのキャラクターを使うが、のび太君が出来杉君に土地を売ろうとして話がまとまった。そこへジャイアンが現れ、出来杉君がその土地を買いたがっているのを知った上で、のび太を説得して(詐欺や強迫は別問題に付きここでは触れません。)普通の値段で土地を買う(登記も入れてしまう)。そしてジャイアンは出来杉君に俺がのび太からあの土地を買った。登記も俺のものにした。どうしてもほしいなら売ってやってもいいぞといって高いお金を吹っかける。これが背信的悪意者である。
 この場合ジャイアンはとてつもなく、やくざなやつである。民法はこういう悪者は許さない。背信的悪意者ジャイアンは第一買主の出来杉君が登記を持っていないことを理由に、売主のび太君から出来杉君への物権変動を否定する「正当な利益」を有さないため民法177条の第三者に当らないとし、出来杉君は登記がなくてもジャイアンに対してその土地は僕のものだと主張できるのである。
 ただし、ジャイアンが土地をゲットした後、何も知らないしずかちゃんに土地を売ってしずかちゃんが登記を入れてしまったら話は終わってしまう。最高裁の判例は

 第二買主たる背信的悪意者から不動産を譲り受け登記をしたものは、自分自身が第一買主に対する関係で
背信的悪意者と評価されない限り、その不動産の取得を第一買主に対抗することが出来る。

とある。
 つまり、ジャイアンから土地を譲り受け、登記まで入れたしずかちゃんは、いかに出来杉君がジャイアンの悪巧みによって土地をゲットできなかったとしても、しずかちゃん自身が出来杉君に対してジャイアンと同じ背信的悪意者と呼べるものでなければ
(勿論この場合はしずかちゃんがジャイアンの意図を知っていてもかまわない。この場合のしずかちゃんを単純悪意者という)
しずかちゃんに対してその土地は僕のものだとは主張できなくなるのである。
 この場合は、裁判所はこういったのである。ジャイアンはやくざだけどしずかちゃんはかたぎの人で法律を守って登記を入れた人だから、この場合はやっぱりしずかちゃんを守らないといけないんだ。出来杉君、悪いけどあきらめてね。
 出来杉君はやるせがないが、これが民法である。二人のカタギは一度には救えない。どちらを救うかその度合いを比較してどちらか一方だけ勝たせるのだ。

 さて、話がとても長くなったが、最後に177条の第三者に関して物権変動と絡めて問題が出された場合、試験対策として講師が言った言葉を挙げて結びとする。
(これを言いたいがために今まで長々と書いてきたのだ・・)
対抗するとはケンカすること。対抗出来る出来ないは、ケンカの相手がヤクザかカタギかどうかで決める。一部の例外はあるが、基本的にはヤクザは177条の第三者には当らない。カタギは177条の第三者に当ると考えればよいとの事である。

追伸:一部の例外の話だが、所有権が転々移転した場合の前主(たとえばA→B→C→Dのような場合のBやC)はヤクザではないが、第三者には当らない。これはその前主が物権変動の当事者とみなされるからである。
(前掲の第三者に関する判例を参照してほしい。当事者とみなされれば第三者ではない。)

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コメント

  ヒロりんさん、今日は行けなくて申し訳ないです。急に仕事が入りまして・・・。

  次回行きますので。その際、第一回目の試験回答をお持ちでしたら見せていただけないでしょうか?答え合わせしたいので。

  民法はもう5回目なんですね。物権ですね。
僕も今は、国Ⅱ民法です。中々頭に入りませんのでテキストを参照しながら読み込んでいます。
 答練については、118点取らないとお話にならないそうです。ヤバイ、まじヤバイです。

  あと1ヶ月で答練ですが、頑張りましょう。

投稿: 信者 | 2006年5月31日 (水) 01時22分

 信者さん、おはようございます。お山の修行は進んでいるようですね。下界は煩悩が多くて困ります。私は今やっと法検の行政法に本格的に取り掛かった所です。民法の2ターン目が全部終わるまでには終了し、先に民法のテキストの見直しと法検民法をしてから、憲法のテキストと法検を手がけます。たぶん国Ⅱは諸法令と平行してやる事になると思います。予定では8月末ごろからでしょうか。最終的には公開模試に間に合えばいいと腹をくくっています。
追伸:ところで私は答練を山でやる分で受けようと思っています。

投稿: タカくん | 2006年5月31日 (水) 07時01分

信者さん、一回目の試験の解答は持ってません。
ただ2ちゃんねるで、解答速報みたいなやつが出てましたので、1回、2回目ともだいたいの答えはわかると思います。
ちなみにそこの掲示板で答え合わせしたらギリギリ合格でした。
結果が出ないとどうにも言えませんが、合格なら7月の個人情報保護士も受けるかもしれません。
なんせ半分免除は大きいですからね。

投稿: ヒロりん | 2006年5月31日 (水) 11時46分

 ヒロりんさん、こんばんは。昨日はどうもありがとうございます。参考にさせていただきます。個人情報保護士をダイレクトで受けてみようかなと思っていましたが、問題免除は大きいので、先に検定を受けてみようかなという気になっています。でも、目先の行政書士試験の勉強がはかどっていないので、やっぱり受けるにしても、行政書士の方が一段落してからになりそうですね。

投稿: タカくん | 2006年5月31日 (水) 20時02分

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